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甘えた
第11章 11
半分ほど埋まった頃、買い物から戻ってきた。
キッチンでがさがさと音がする。


「終わった?」

「まだ…」

「ふーん、詰まってるところでもあった?」

背後から覆いかぶさるようにテーブルに両手をついて、プリントを覗き込む。
うわっ、また来た。


「あ、2枚目か。早いね」

「んーん、さっきのプリント分からない所だらけだったから、勉強してからもう1回……」

テーブルについていた両手は肩に廻され、がっちりホールドされてる。
あたしの髪の中に鼻先を突っ込んでる。
莉壱の温もりに引き込まれそうになる。
このまま振り向いてしがみつきたいという欲望が湧いてくる。

じゃなくて…っ!!

「ふー、莉壱?そんなにくっつかれたら勉強出来ないよ?ちょっと離れて」

「勉強したい?」

「しますよっ。あたし受験生だし、これ終わらないと夕飯の支度も出来なくなるよ?」

「こわっ、脅された。あー、スーパーで鰻の蒲焼きがいっぱい並んでたから、鰻にしたんだけど良かった?」

あたしはコクンと頷いた。

髪にキスをして莉壱はおとなしくソファーへと移って行った。

鰻っ!あたし大好物だよっ!莉壱様様だね、ナイスチョイスだよっ!もー大好きっ!…って鰻が大好きって意味だけど。
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