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甘えた
第12章 12
たった2週間だけど密度の濃い時間を過ごしたと思う。

日によってコロコロと感情が変わるし、優しいんだか意地悪なんだか分からなくて、強引で、束縛気味で、頭がいいくせに子供みたいに無知なところがあって、言葉遣いが柔らかくて、もっと大人になれよっていうぐらいストレートにあたしに向かってきて、挿入しない性行為に欲求不満にさせられて、触れる指の感触があたしの体に刷り込まれて……

あの赤い舌がエロくて好きだったな。

一度も視線の合うことのなかった瞳は嫌いだったけど。


莉壱の部屋に通うのは、今日で最後にする。昨日『明日は絶対に来い』って言ってた莉壱、そんなに長谷川くんへの嫌がらせに執着しなくていいのに。

彼女がいるんだったらさ、普通に恋愛を謳歌する高校生をやってればいいじゃん。あたしだって倉庫パーティーに行きたいよ、ワンナイトで邪念を振り払うんだから。

もう、終わり。
任務だなんて言って調子こいてたね。恋愛初心者なあたしは莉壱に簡単に落ちちゃうし、莉壱との攻防戦はあたしの負け。気付かれる前に撤退しよ。

長谷川くんに相談するつもりでいたのに、一足違いで帰られてしまった。明日、式典会場のホテルで結愛花と3人で会えるから、その時にでも話せばいい。


「莉壱ー来たよー」

玄関に靴が2足、ぴーちゃんが来てるらしい。少年モードで楽しそうに笑う莉壱の声が聞こえてくる。
いつ話を切り出そうかと張りつめていた気持ちは、ぴーちゃんが居てくれたことで緩くなった。
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