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甘えた
第12章 12
「ぴーちゃん、こんにちは」

片手を上げて笑顔で挨拶を返してくれる。そして、上げた手の指先を曲げ、あたしを呼ぶ。

《この間は 都羽ちゃんに嫌な思いをさせちゃって ごめんなさい》

素早くスマホに打ち込むとあたしに向け、アイスの件を謝ってきた。

「気にしないで」

《莉壱にガツンと言ってくれて ありがとう》

笑顔でぴーちゃんみたいに大きく頭を上下に振ってコクコクと頷く。

「ぴーちゃんも許してくれて、ありが──

「都羽ー、新しいスマホ買ったよ?」

あたしとぴーちゃんの和やかな会話を遮られ、仕方ないねって表情で笑うぴーちゃん。

「もう行ってきたの?へぇーどれどれ?」

いつもの席に座らずに莉壱の横に立ちながらスマホを覗き込む。昨日の画面の割れたスマホじゃなくなっていた。

「中も見ていいよ」

スマホを渡され、なんの気なしにボタンを押す。

「おしり痛いの治ったの?」

パス入力の画面が表示される。

「くすっ、都羽のおかげで治ったよ?」

あたしが知ってる数字はただひとつ…誕生日だけ。

0608と入力する。

「あ、ひらいた…。ちょっ、あたし解読できちゃったー!すごくない?ねぇすごくない?」

中を覗くことなく、くすくすと笑う莉壱にスマホを返した。
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