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甘えた
第12章 12
「そんな作り笑いで俺が騙されると思ってるの?」

目を細めた渋い顔であたしを見る。

作り笑いがバレてる……もう、上っ面を取り繕う余裕がない。帰りたい…

「都羽、そんなに帰りたい?」

心までもが読み取られ、恐る恐る莉壱の瞳に視線を移す。



──…!!


莉壱と、視線が…合った……


吸い込まれるように視線が絡み合う。

鋭くて冷たい瞳で視線が交わったことがなかったのに……

今、あたしを見てくれてる。


「……あ…っあ……あ…」

心臓を掴まれるような息苦しさに声が漏れる。
信じられないような現実に、嬉しさで思わず顔を綻ばせた…大粒の涙をひとしずく流しながら。
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