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甘えた
第2章 02
「都羽さん、今日も迎えにきました」

赤いTシャツをちらりとのぞかせたツンツンヘアーが近づいてきた。

「おー青年。ちゃんと敬語が使えるようになったね」

「はい。余裕でした。ところで昨日は大丈夫でした?」

「何が?」

「アイツに食われませんでした?」

「アイツ?」

「あーもう!だーかーらーケンジにヤられなかったかって聞いてんの」

「ヤったよ?」

「えっ?」

自分から人に聞いといてそんなに顔を真っ赤にすることはないでしょ。

昨日と同じエンジン音の振動が体に伝わる車に乗り、長谷川くんの家に向かう。

「今日は俺も一緒にこっちの部屋にいるから。またナンパされたら、かなわないよ」

「はいはい。あたしお勉強するから邪魔しないでね」

昨日とほぼ同じ顔ぶれが揃い、タバコの煙で室内がうっすら霞んでいる。

窓を開けて空気の入れ替えをすると、床に問題集を広げ集中する。

光政は寝そべって漫画を読み始めた。

しばらくすると障子戸が開かれ一人の男の子が部屋に入ってきた。

「ちっす」「うぃーっす」「こんにちは」

挨拶が交わされる。

男の子はシャツとチノパンをきっちりと着こなし、肩にセーターを羽織っている。

この部屋にそぐわない爽やか男子だった。
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