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甘えた
第13章 13
くだらないバカ話であたしの相手をしてくれた光政に救われる。
家に来たのはたぶん長谷川くんの指示、結愛花に付き添って森安家に滞在してる長谷川くんの側で光政が待機するには都合のいい場所だし、そこは利用されてあげよう。

昼前になるとバイトがあると言いちゃりんこに乗って帰って行った。


次の日も光政は同じ時間に一緒に居てくれた。

「もうすぐバイト代入るんで、都羽さんを海に連れてくっす」

テレビの情報番組で海水浴場のシーンが映し出されていた。それを見て思いついたらしい。

「海?ちゃりで行くの?」

「あ、いや…電車っす」

「あー、水着持ってないや。そういえば彼女いるんだよね?彼女と行ってくればいいじゃん」

「か、彼女はいないっす。好きな人なら…」

顔を赤くしながら、ごにょごにょと口ごもる。

「好きな人かぁ…」


莉壱への気持ちは、『好き』と『嫌い』のシーソーの間で揺れ動くことなく、真ん中で止まったままの状態だった。
『嫌い』になれってシーソーを押し下げてもビクともしないのは、心の中のあたしが『好き』って頑張ってるからかなぁ…


「明日、結愛花のところに様子を見に行ってみるね」

話題を逸らして、光政に背を向け寝転がった。
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