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甘えた
第14章 長い一日
「ごめん」

理性に引き戻され、ポケットの中からスマホを取り出して電話を繋げる。

「父さん?今どこ?」

ビルの前に到着していた父さんを迎えに行き、莉壱の部屋へと案内する。

「毎度ー!」

玄関に入ると白の作業着姿の父さんは、仕事場でするような挨拶をしてズカズカとあがっていく。

「なんだこりゃ、モデルルームかよ」

「ちょっと、父さん…」

ダイニングテーブルの側で、すっかり萎えて平常時に戻った莉壱が立っている。

「お?都羽の彼氏か?」

立てた親指をあたしに見せる。

「うん」

答えながら、両手で父さんのお下品なハンドサインを隠す。

「長谷川莉壱です。初めまして」

莉壱が自己紹介をしながらお辞儀をする。

「お、おぅ。内装職人の久保です」

父さん…そこは『都羽の父親』でしょ!
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