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甘えた
第4章 04
翌朝、教室の前に光政の姿を見つけるとあたしは無言で屋上へ足を向けた。

久しぶりに見る光政の顔には喧嘩の後があった。

「昨日、何度も電話しました」

「電話?」

スマホを取り出し着信履歴を見ると『りんごちゃん』から何度もかかってきていた。『りんごちゃん』はすぐ顔を赤くする光政のニックネーム。

「無事で良かったっす。はぁ…心配してたんだぜ…俺もだけど銀河さんも。夜は召集かかっちゃって電話出来なかったけど、ちゃんと帰ったって仲間が確認してホッとした…」

長谷川くんが心配?色々想定してたんじゃないの?

「あー大丈夫。お茶飲んだだけ…。もうアイツには関わらないから心配ないよ」

あたしの言葉を信用できないといった表情で黙り込む。

「…顔の傷は昨日ついたの?」

光政の頬の傷と同じ場所を、自分の頬で指さした。           

「まぁな」

「莉壱?」

「そんなとこ。莉壱さんは直接手をくださない…けど、妙な動きがある」

「たしかに」

あたしにも接触してるし…いよいよ結愛花を狙ってくるか?

「来週末は体育祭もあるから都羽さんも気をつけて」

「わかってる」

そう返事をして教室に戻った。
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