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甘えた
第5章 05
梅雨の合間を縫って晴天に恵まれた体育祭当日、陸上競技が始まってグラウンドは人が疎らだったのに、お昼前に開催されるメインの騎馬戦に備えて当校、他校の生徒が集まり始めグラウンドは人が増えだした。

800M走を走り終えたあたしは、校庭の真ん中に位置する放送席の隣に設置された給水所でミネラルウォーターのペットボトルをもらっていた。

この給水所から結愛花の席が良く見える。

例のペンキ事件後、校内での女子からの嫌がらせは落ち着いたが、今日は他校からの女子に要注意だった。

長谷川くんと楽しそうに並んでいる結愛花の姿を捉えながら水を飲んでいると、光政が近寄ってきた。

「都羽さん見ましたよー、3位なんてすごいっすね」

「でしょ?頑張ったよ…ううっ。1位2位は陸上部の子たちだよ?そのペースに付いて行っただけでも褒めてもらいたい」

「うんうん、都羽さんは頑張ってた。俺も次がんばるっす!」

顔の腫れは引いたものの、青痣だらけでひどい顔をしている光政がファイティングポーズをとる。

「えっ?まさか騎馬戦に出るの?」

「出るに決まってるだろっ」

「ええっ?だって長谷川くんに止められなかったの?」

「許可はもらったぜ」

嬉しそうにピースサインを向けるから、笑っちゃった。
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