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甘えた
第6章 06
遅く起きたあたしは午後から道場に行く予定を立て、居間でのんびりと掃除機をかけていた。

玄関で来客を知らせるチャイムの音。

「はいはーい」

掃除機のスイッチを切り、玄関扉をあけると鋭い視線で口元を歪めた莉壱が立っていた。


「え?」

「迎えに来たよ」

「え?なんでいるの?」

「また明日って言ったよね?」

「言ったっけ?」

状況が飲み込めないままポカンとする。

「くすっ。早く出掛ける用意して?」

「え?どこに?」

「俺の部屋」


…あーーーっ?!
こんなところに莉壱が居るなんてやばくない?
この時間なら結愛花はもう長谷川くん家に行ってるよね?

「わかった、わかった。すぐ用意するっ」

一気に緊急事態に陥ったあたしは、掃除機を押し入れに放り込み、財布とスマホと家の鍵を持った。
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