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貴方の心と身体を癒してさしあげます
第2章 愁子×沙羅 - 桜の散る頃に
愁子が作った料理を食べソファーに座ってワインを軽く飲む。
TVがないその空間は、静けさの中に時計の時を刻む音だけが響き渡る。

「お食事はお口に会いましたかしら?」

「ええ。とても美味しかったですよ。見ず知らずの私に親切にしていただいてありがとうございます。何とお礼を言っていいのか…」

ワインを傾けながら横に座る愁子の横顔を見れば、お酒のせいか、ほんのりと頬を赤らめている。

「見ての通り広い家に1人です…やっぱり寂しいわ…だから気になさらないで。私の我儘なんですから」

「では…お礼に愁子さんの意のままに何でも叶えて差し上げましょう…心も身体も」

愁子の頬に手を添えて私の方に振り向かせる。
トロンとした目とぶつかる。

「私の意のままに?」

私の言葉を繰り返す。

「ええ。愁子の意のままに…犯罪以外でしたら全て叶えましょう」

「全て…」

「そうです、全てです。さぁ、欲しい願いを口にしてみてください。愁子」

呪文のように愁子に囁く。
彼女の心をとらえて離さない。

「桜が…桜が散るまで…傍にいてください。私を一人にしないでください。」

カランッ

と“物”が落ちる音が響く。

「お代はいただきました。桜が散るその時まで一緒に共に過ごしましょう」

「はい…沙羅…」

「愁子…」

私は愁子に唇を重ねるだけのキスをする。
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