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貴方の心と身体を癒してさしあげます
第2章 愁子×沙羅 - 桜の散る頃に
「沙羅って不思議ね…。最後の夜にその方は私の部屋に足を運んだの。私は意地を張ってベッドに潜り込んでしまったけど…部屋に入ってきてベッドに腰をかけて、最初は何も言わずに座っていたの。」
『ねぇ…僕が現れなければよかった?…そしたらこんなにも愁子を苦しませずにすんだのに…愛し合わなければ後悔せずにすんだのに…愁子…ごめんね…今までありがとう…』
その方はそう言って部屋をでて行ってしまった。
ありがとうって何かしらね。
私と出会った事を後悔って何かしらね。
他人事のように心の中で彼の言葉が反響して、自然と涙がでてき止まらなくなってしまった。
最後までその方は私の事を大切にしてくれていた。
私の幸せを一番に考えてくれていた。
「今になって分かっても、もう遅いわよね…その方は何も言わずに次の朝早くに出て行ってしまった。手紙を置いて…」
愁子はポケットから小さく折りたたんだ手紙を私に差し出した。
私はそれを受け取って字を目で追う。