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貴方の心と身体を癒してさしあげます
第2章 愁子×沙羅 - 桜の散る頃に
「…そして、これがゴミ箱に破り捨ててあったの…」

テープで張り合わせた、愁子の手に渡るはずがなかった手紙。
書いた後にペンで消して破られた手紙…

『今は何もしてあげられない。
ただの絵描きの僕が愁子を幸せにすることなんてできない事は僕が一番分かっている。
もっと力が欲しい。
愁子を幸せにできるだけの力を。
僕は有名になって、愁子を幸せにできるだけの力を蓄えて必ず帰ってくるよ。
だから待っていてくれるないだろうか?
君が結婚していても僕は構わない。
それでもまた君に会いたい。
そして君を愛したい。
そう願うのは僕の我儘だろうか。
泣く君を捨てて行ってしまう僕が望んではいけないのかもしれない。
けれど、僕はまた君に会いたい。
何年後とは約束はできない。
だけど必ず帰ってくるから。
桜が散る頃には必ず帰ってくるから。
その時は僕をまた愛してほしい。
受け入れてほしい』

そこで手紙は終わっていた。
これが愁子と彼の約束。
果たされることなく30年も過ぎてしまった約束。

「それを読んで私は自分を呪ったわ。あの時、もっと話ができていればと何度も思った。これが捨てられたということは、帰ってくる気がないのかもしれない、これを私が読んでいると知らないかもしれない。…けど、待ち続けてるんです」

「この時からずっとですか?」

愁子は頭を横に振る。
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