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暁の星と月
第1章 暗闇の中の光
「暁、着いたよ」
そっと声をかけられ、暁ははっと目を覚ました。
…いつの間にかうたた寝をしてしまったようだ。
暁の胸元には礼也の上着が掛けられていた。
「…す、すみません…!眠ってしまったみたいで…」
おろおろする暁の頭に礼也は優しく手を置く。
「気にするな。疲れているんだ。無理もない…」

外側からドアが静かに開いた。
黒い制服を着た従者が恭しくドアを開けていた。
「さあ、降りるよ。家に着いたからね」
礼也は暁の手を引くと、車から降りた。

礼也に従い、車の外に出て暁は驚きの余り、声が出なくなってしまった。
瞬きをすることも出来ない。
…これは…何?
…これは…お城…?
まだ暁が小学校に通えていた頃、図書室の外国の絵本で見たお伽話の王子様の住むお城が目の前に広がっていたのだ。
赤い煉瓦造りの高い高い建物…。
屋上には三角の塔がそびえ立っていた。
主人の帰宅を聞きつけた執事が重々しいドアを開けて出迎える。
立ち竦む暁の手を、礼也はしっかりと握りしめる。
「…さあ、おいで」
黒い燕尾服を着た初老の執事が2人に恭しくお辞儀をする。
どうやら暁のことは、事前に知らされていたらしい。
アーチ型のエントランスを潜ると…
広々とした玄関ホールが広がっていた。
床は大理石張りだ。
正面の階段ホールの壁は一面のステンドグラスで、春の明るい午後の光を受け、きらきらと輝いていた。
…図書室の写真で見た外国の教会みたいだ…!
暁はふわふわと雲の上を彷徨っているような心持ちだった。
礼也の高価そうな靴音が玄関ホールに響きわたる。
暁は…粗末な草履の自分が恥ずかしい。
玄関のドアを締め、戻って来た執事に礼也は口を開く。
「弟の暁だ。…間一髪のところで助けられた」
執事は口元だけで穏やかに微笑んだ。
「…それはようございました」
「生田、暁はお腹を空かせていると思うのだ。すぐになにか食事を出して貰えるか?」
礼也は暁の異常な痩せ方を見て、碌に食事も摂れていないと判断したのだ。
「そうではないかと思い、もう食堂にご用意してございます。…さあ、暁様、どうぞ」
淡々とした、しかし暁が安心するような声色で生田は促す。
「さすがだな。ありがとう。…さあ、暁、行こう」
暁はまだ緊張した面持ちのまま、ひたすら礼也の手を強く握りしめ、礼也の後を付いて行った。
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