この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
暁の星と月
第1章 暗闇の中の光
突然現れた青年にヤクザ者が訝しげな顔をし、暁を襲う手を止める。
「なんだよ、オメェはよ!」
「その子を離せ。今すぐにだ」
青年は怒りを抑えた冷静な声で言い放つ。
カチンときたヤクザ者がドスを効かせる。
「ハア?兄さん、いきなり現れて何言ってんだよ!邪魔すんじゃねえ!」
暁は男の身体の下でひたすら恐怖と闘い、目を瞑っていた。
…誰か…来たみたい…。
でもその人が、敵なのか味方なのか分からない。
暁に出来ることは目を瞑り、震えていることだけだった。
スーツの男が慌ててヤクザ者を制する。
「やめろ!…この方は、礼也様…縣男爵のご長男の縣礼也様だ」
「…へ?縣…男爵…様…の?」
ヤクザ者が間抜けな顔で礼也を見る。
「…そこを退け」
礼也はヤクザ者を押しやる。
そして、身体を丸め、床に伏している暁の傍らに片膝をつく。
「…君、名前は?」

…頭上から聞こえてきたのは、低いがよく通る美しい声だった。
…誰…?この人…。
暁はまだ恐怖の檻から出られずに、目を瞑ったままだ。
「…怖くないよ、大丈夫だから…」
重ねて、暁を安心させるような言葉がかけられた。
暁はようやく、瞼をゆっくりと開き、おずおずと下から声の主を見上げた。

…美しい青年だった…。
外の陽の光を背にしていたため、顔はやや逆光気味だったが、引き締まり整った男らしい目鼻立ち、すらりとした体躯、着ているものの上質さは暁でもわかる程だ。
礼也と呼ばれた青年は、温かい眼差しで暁を見つめ、笑いかけた。
「…君、名前は?」
再び問われる。
暁は乾いた唇を開いた。
「…あ、あきら…」
礼也は暁の声を聴き、嬉しそうに笑った。
「あきら君か。…どういう字を書くの?」
…生まれてから暁は他人にこんなに丁寧に話しかけられたことはなかった。
「…あの…こういう字の…暁…の…あきらです…」
暁は空で一生懸命漢字を書く。
礼也は破顔した。
「ああ、夜明けの暁だね。…とても綺麗な名前だ」
…綺麗な名前?
そんなことを言ってくれる人は初めてだ…。
母は名前の由来なんて教えてくれなかったし、暁の周りにいる人々は、人名なんて無頓着だった。
漢字を読める人の方が稀だったのだ。

…綺麗な名前…綺麗な名前だって…!
暁は身体がじわじわ温かくなるのを感じた。
礼也は暁を怖がらせないように、ゆっくりと手を差し伸べた。
「…おいで、暁君」



/479ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ