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暁の星と月
第1章 暗闇の中の光

「礼也様!大丈夫でしたか?」
秘書らしき男が気遣わしげに、部屋に駆け込んで来る。
「ああ、大事ない」
礼也は頷くと、暁に優しく語りかけた。
「…暁、ここは危険だ。また先ほどのようなやくざな輩がやって来ないとも限らない。…私の屋敷に行こう」
暁は目を見張る。
「…え…?礼也様…の…?」
礼也は切なげな眼差しをする。
暁の両手を優しく握る。
「兄さんと呼んでくれないか?私は君の兄なのだ」
「…そ、そんな…!も、もったいないです…!ぼ、僕なんか…こんなにみすぼらしくて…みっともなくて…」
暁は自分の粗末な絣の着物を見下ろし、震えながら首を振る。
…まだ信じられない。
本当にこの美しく立派な人が僕の兄なのか?
兄さん…なんて…呼べるはずがない。
混乱している暁を穏やかに見つめ、優しく髪を撫でる。
「みっともないなんて、とんでもない。君はとても綺麗だよ。…君は母親似なんだな。父に似なくて良かったよ」
暁を和ませようとユーモアを交えて話す。
暁は恐縮しきった表情のままだ。
礼也はまだ現実が受け止めきれてない暁にそれ以上を求めるのはやめた。
「とにかくここを出よう。…必要なものだけ纏めて…」
礼也は部屋を見渡す。
家具など皆無ながらんとした侘しい部屋だ。
…ここで、母子肩を寄せ合って生きてきたのか…。
随分辛い目にあったようだし…。
礼也は暁を思い切り抱きしめたくなる。
「…必要なもの…」
暁は粗末な棚の上に置いてある母の位牌と鏡台の中の指輪を手にして、風呂敷に丁寧に包んだ。
「…これだけです…」
他に大切なものなど、なかった。
礼也は安心させるように頷き、暁を再び抱き上げた。
暁は慌てる。
「あ、あの!自分で歩けます…!」
礼也は朗らかに笑う。
「いいじゃないか。私は弟を抱っこするのが夢だったんだ。一人っ子だったからね。兄弟がいる友人が羨ましかったよ」
軽々と暁を抱き上げると、不意に真顔になる。
「…暁は軽いな…。もっと太らなくては」
やせ細った背中を撫でる。
「…す、すみません…」
こんな貧相な身体を抱いて貰い、申し訳なくなる。
「君が謝ることはない。…さあ、行こう」
礼也は暁をしっかり抱きしめたまま、ゆっくりと玄関を出る。
四月の清潔で眩しい陽光が暁の瞳を射抜く。
暁は眩しさに目を閉じ、思わず礼也にしがみつく。
礼也はそんな暁に微笑みかけ、力強く歩き出した。
秘書らしき男が気遣わしげに、部屋に駆け込んで来る。
「ああ、大事ない」
礼也は頷くと、暁に優しく語りかけた。
「…暁、ここは危険だ。また先ほどのようなやくざな輩がやって来ないとも限らない。…私の屋敷に行こう」
暁は目を見張る。
「…え…?礼也様…の…?」
礼也は切なげな眼差しをする。
暁の両手を優しく握る。
「兄さんと呼んでくれないか?私は君の兄なのだ」
「…そ、そんな…!も、もったいないです…!ぼ、僕なんか…こんなにみすぼらしくて…みっともなくて…」
暁は自分の粗末な絣の着物を見下ろし、震えながら首を振る。
…まだ信じられない。
本当にこの美しく立派な人が僕の兄なのか?
兄さん…なんて…呼べるはずがない。
混乱している暁を穏やかに見つめ、優しく髪を撫でる。
「みっともないなんて、とんでもない。君はとても綺麗だよ。…君は母親似なんだな。父に似なくて良かったよ」
暁を和ませようとユーモアを交えて話す。
暁は恐縮しきった表情のままだ。
礼也はまだ現実が受け止めきれてない暁にそれ以上を求めるのはやめた。
「とにかくここを出よう。…必要なものだけ纏めて…」
礼也は部屋を見渡す。
家具など皆無ながらんとした侘しい部屋だ。
…ここで、母子肩を寄せ合って生きてきたのか…。
随分辛い目にあったようだし…。
礼也は暁を思い切り抱きしめたくなる。
「…必要なもの…」
暁は粗末な棚の上に置いてある母の位牌と鏡台の中の指輪を手にして、風呂敷に丁寧に包んだ。
「…これだけです…」
他に大切なものなど、なかった。
礼也は安心させるように頷き、暁を再び抱き上げた。
暁は慌てる。
「あ、あの!自分で歩けます…!」
礼也は朗らかに笑う。
「いいじゃないか。私は弟を抱っこするのが夢だったんだ。一人っ子だったからね。兄弟がいる友人が羨ましかったよ」
軽々と暁を抱き上げると、不意に真顔になる。
「…暁は軽いな…。もっと太らなくては」
やせ細った背中を撫でる。
「…す、すみません…」
こんな貧相な身体を抱いて貰い、申し訳なくなる。
「君が謝ることはない。…さあ、行こう」
礼也は暁をしっかり抱きしめたまま、ゆっくりと玄関を出る。
四月の清潔で眩しい陽光が暁の瞳を射抜く。
暁は眩しさに目を閉じ、思わず礼也にしがみつく。
礼也はそんな暁に微笑みかけ、力強く歩き出した。

