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契約的束縛・誘惑なる秘密
第29章 歓喜の一夜

(考えて……私!)

ウードゥさんと霧斗の違うところ。激しくとも優しいウードゥさんのやり方。野性的で手加減なんて知らない霧斗のやり方……あれ?

(今までのやり方は……ウードゥさんのやり方)

霧斗はもっとこう……あの頃の私が根を上げるまで責めて、互いに何度も絶頂に駆け登った。ただ眠る時もあったけれど、大概は責められていた筈。なのに今の霧斗は、痕は付けても責めて来ない。あの野性味が感じられない……これが大きな違いだよ。

(でも、どうすれば……。もしかして、そこまでは思い出していない?)

細部までは半々くらいと霧斗は言ったよ。日々の日常なんて些細な事だもの、思い出していなくても不思議ではないよね。

(思い出させるには? 何が一番有効なの?)

「……美波、仕方がない事もないか?」
「少し待って霧斗。今私に出来る事を考えているの」
「美波に出来る事?」
「そう。絶対に何かある筈」
「あまり無理をしなくてもいいんだ美波」
「無理じゃない、問題はそこじゃないの。もっと違う霧斗らしさ……私の知っている霧斗は……」

私こそ思い出して!
あの頃の私と霧斗、そこにあった出来事。一番印象に残っているのは何?

「…………契約が終わって、私は霧斗を待ってた。外出から帰って来ない霧斗にやきもきして、帰って来たら私は霧斗に部屋に連れて行かれた」

『何やってんだか』と呆れられ、新しい服で散乱している部屋の真ん中に居た私に、『来い美波』という言葉と一緒に手を差し伸べられ、私はその手を取った。

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