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サイレントエモーショナルサマー
第31章 istinto
「手伝ってくれてありがとう。帰ろっか」
PCをシャットダウンし、帰り支度を始めると後ろから抱き締められた。ふわりと藤くんの匂いが漂う。ちゅ、と耳の付け根を吸われ、背中がぞくりとする。
「このまま、連れて帰りたい」
「藤くん、」
「なんで、我慢してられるんですか。あなたに触れたいのもキスしたいのもセックスしたいのも…全部俺だけなんですか?」
そんなこと、ない。私だって、なんとか抑え込んでいるのだ。腕の中もがいて藤くんの方へ振り返る。美しいアンバーが潤んで見える。藤くん、と声をかけようとすると唇を奪われた。下唇を噛んで、強引に舌を挿し込んでくる。
荒っぽいキスで一歩後ずさる。手探りでデスクに手をつきながら、もう片方は藤くんのシャツの袖を掴んだ。
腰へ藤くんの手が添えられる。ふ、と声を漏らしても激しいキスは止まるところを知らない。
「はっ…だめだって、」
「あと2時間もすれば土曜です」
「…そう言う意味じゃ、」
「したくないんですか?」
「……したいけど」
「けど、なんですか?中原さんに後ろめたいんですか?今までそんなこと言ってこなかったのに好きだって言われたからって中原さんばっかり……俺だって、あなたのことが好きなのに」
泣き出しそうな顔を私に見せないように噛みつくようなキスをする。ぐっと口を閉じて抗っても、ぺろりと唇を舐められればそこは自然と開いてしまう。舌を絡め取られ、ぴちゃりと音がする。
藤くんの空いた手が服の中へ滑り込んでくる。性急に乳房を掴まれ、キスにうっとりと閉じていた目を開く。彼のシャツの袖を掴んでいた手で肩を押すと唇が離れた。
鞄の中から鈍い振動音がする。スマホが鳴っているのだろう。そうだ、時間的に浩志からの着信だろう。一瞬、鞄へ視線をやれば上の方に入れてあったスマホの画面が見える。
「……ちょっと!藤くん!」
私の視線を追った藤くんもその画面を見るなり素早く私のスマホを取り出して応答ボタンを押す。