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サイレントエモーショナルサマー
第31章 istinto
「志保さん…もっとお尻上げて、」
「むり…も、きもちよすぎて…あしが…あぁっ」
無理だよ。身体に力が入らない。どろどろに溶けてベッドに沁み込んでしまうかもしれない。ずるりとシーツの上を膝が滑って、そのままうつ伏せになると中を押し広げていた熱がじゅぽっと音をあげて抜けた。
「はっ…はっ…あンッ」
尻を掴まれたかと思うと、熱が戻ってくる。じわじわと時間をかけてごつんと亀頭が子宮口に当たった。藤くんは私に覆い被さってゆるゆると腰を動かす。
「あっ、あっ…藤く…これも…きもち…」
「志保さん、キスは?」
体温と重さを感じながら首をひねって藤くんの方を振り返る。舌を出して必死にキスをねだった。絡め取って、くちゅくちゅと淫靡な音。下半身からはもっと卑猥な音が上がっている。
「ちゅー、もっと、もっとちょうだい…っ」
首が痛い。藤くんの好きな体位ならもっと楽にできるのに。でも、この体勢も頭の中がぐちゃぐちゃになるくらい気持ち良い。重たい彼の身体を感じると下腹部は疼きと熱を増す。
ベッドに投げ出した私の手に藤くんの手が被さる。指が絡んだ。ぐい、と奥を突かれ飛び出した甘い声は藤くんの口の中に溶ける。
キスの嵐が止めばぐりぐりと奥を刺激しながら藤くんの空いた手が口元へ伸びてくる。迷わず口を開いて押し込まれる前に指先にキスをした。口内へ入ってきた指に舌を掴まれるとただでさえ苦しい呼吸がもっと苦しくなった。
「ふっ…んんっ…んっ…ぅ…っ…」
顔が見たい。抱き着きたい。藤くんの首筋にキスをして、耳たぶを噛みたい。そのどれもが叶えさせてもらえない。
鈍い振動音が響く。ベッドの下に放り出されたボトムスの中で私のスマホが鳴っているのだろう。
藤くんも気付いている筈なのに彼は腰の動きを緩めず、私に指を舐めさせるのも辞めない。暫くして音が鳴りやんでも変わらず、じゅぶじゅぶと音を立てて私を喜びに泣かせる。