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サイレントエモーショナルサマー
第36章 pavida

チカに連絡を入れるとユウジさんとデートだったものの彼に急用が出来て別れたところらしく、落ち合って食事をしようということになった。気取った店やアルコールがメインの店よりもとにかく空腹を満たしたくて、チカのマンションの最寄駅にあるファミレスを候補にあげると彼女はそこでいいと言った。

私が店についた時、チカはまだ来ていなかった。とりあえず小さいサラダと生ビールだけを頼みチカを待つ。運ばれてきたビールとサラダが半分ほどになったころ、おめかしをしたチカがやってくる。

さっとメニューに目をやった彼女を尻目に呼び出しボタンを押す。チカは基本的にファミレスでは和風の定食しか食べない。案の定、生ビールと竜田揚げご膳を頼んだチカに続いて、私はハンバーグとライスのセットを頼んだ。

「そんなにお腹減ってるの?ご飯食べてないの?」
「…なんか藤くんの様子おかしくてさ。食べ損ねた」
「だからこんな時間に帰ってきたのね。もっと時間ぎりぎりまで帰らしてくれないもんだと思ってたけど」
「いやほんと…なんなんだろうね。どうしたの、って言ってもだんまり」

一応、コンビニ弁当を買って彼の家に戻り渡してきたのだが、ちゃんと食べてくれただろうか。寂しさも、苦しさも私に触れれば吹き飛ぶと言っていた彼がどうしてあんな状態になったのか分からない。

「寝る前はいつも通りだったんだよね…嫌な夢みたの?って聞いても夢の中の私は素敵だったとか言ってさ…なんだと思う?」
「……私に聞かれても」

もりもりと白米を食べながらチカは眉間に皺を寄せる。私もハンバーグをせっせと口にしながら昨晩のことを思い返した。

なにか、変わったことはあったか。少し弱気さを見せていたが、すぐさま獣になっていた。セックスの最中はなにか言ったりする余裕などなかった。

「飲み会で嫌なことでもあったんじゃないの?抜けて藤くんのとこ行ったんでしょ」
「まあ…うん、愉快ではなかったけど…ああ、そうだ、店出る前にね…、」

お手洗いの前での藤くんとのやり取りのことを話す。あの時、湧き上がってきた暗い感情。途切れ途切れにそれを語るとチカは箸を置いて大笑いする。

「なんで笑うの」
「あんたってほんとポンコツだなって思って。全然、暗い気持ちなんかじゃないのに、バカな子」
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