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執事>御主人様
第2章 豹変
キスされていると気付いた時には壁に押し付けられ手首を拘束されていた。
瞳を見開き拘束から逃れようともがくが、男の力には勝てない。
龍我はそっと離れると形の良い唇をつり上げる。


「くくっ…、初めてか?」
「なっ…!」


自らの濡れた唇をぺろっと舐めて梗華の唇もぺろっと舐めた。
顔に熱が集まるのが分かる。
龍我は押し殺した笑みのまま、梗華の耳元へ唇を寄せる。


「顔、真っ赤だぞ。」


低い声に体が勝手にびくっと震えた。
龍我の拘束が緩くなった隙に梗華は胸板を思い切り押し、自室へと走った。
一人取り残された龍我は顎に手を添え、呟く。


「てめぇは俺から逃れる事は出来ねぇ。」


笑いを押し殺し、朝食の片付けを始めた。
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