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メタモルフォーゼ
第1章 羞恥の作品
 打たれた女は美咲といって、メモゼの常連だった。
 あまり良い噂は聞いたことがない、どちらかと言えば尻軽な女だった。
 あるとき、美咲と一夜を共にしたという女が、利美にこっそりと耳打ちして、
「あの子はやめた方が良いわ。変態よ」
「変態?」
 利美は心の中でゾクッとしながら、平静を装って聞いた。
「お尻を舐めようとするの」
「お尻?」
「アナルよ、アナル」
 利美のゾクッはドキドキにかわった。
「最初、間違えたのかと思ったの。でも、あんまりしつこいから、「そこ違う」って思わず言っちゃったの。そしたら「大丈夫、ここも開発してあげるから」って。私、思わず突き飛ばしちゃったわよ。で、私が「ごめん」って謝ったら、その口でキスしようとするの。もう一度突き飛ばして、それでおしまい。ホントに、どうかしてるわ、あの子」
 その美咲が今、カウンターに突っ伏して泣いている。
 正体なく酔わせて部屋にお持ち帰りしたら……
 利美の胸は怪しく高鳴った。
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