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メタモルフォーゼ
第1章 羞恥の作品

「泣いてたって仕方ないじゃない」
美咲と一緒に来ていた女の子が冷たく言った。
「ホントに好きなら追いかけたら? あのゲージュツ家を」
芸術家、という言い方に明らかな悪意がこもっていた。
「女の下半身こそ、神の作った最高の芸術作品って言ってたわよね」
「だから、私、モデルかと思ったの」と美咲は泣き崩れた顔で言った。
「モデルじゃないの?」
「モデルなら、私、こんなに泣いたりしない。直接見られるのはあの人だけだから」
「モデルじゃないって? だったら、何?」
「展示物そのものになれって……」
「展示物?」
「そうよ。あそこを丸出しにして、台の上に……」
「裸で、ってこと?」
「服は着ていても良いの。ただ、脚を開いて、あそこだけ丸出しで……」
「何? まさか、それがあのゲージュツ家の作品なの?」
「ニューヨークで認められたんだって」
「それはちょっと……」
「でしょ」
「でも、なんでアンタなの?」
「私のあそこは芸術的に美しいんだって」
「はぁ?」
「すごく均整がとれてて……」
利美はもう正気で聞いてはいられなかった。
展示物になる!
晒し者になる!
想像しただけで、もう立っていられないほど感じてしまうのだった。
美咲と一緒に来ていた女の子が冷たく言った。
「ホントに好きなら追いかけたら? あのゲージュツ家を」
芸術家、という言い方に明らかな悪意がこもっていた。
「女の下半身こそ、神の作った最高の芸術作品って言ってたわよね」
「だから、私、モデルかと思ったの」と美咲は泣き崩れた顔で言った。
「モデルじゃないの?」
「モデルなら、私、こんなに泣いたりしない。直接見られるのはあの人だけだから」
「モデルじゃないって? だったら、何?」
「展示物そのものになれって……」
「展示物?」
「そうよ。あそこを丸出しにして、台の上に……」
「裸で、ってこと?」
「服は着ていても良いの。ただ、脚を開いて、あそこだけ丸出しで……」
「何? まさか、それがあのゲージュツ家の作品なの?」
「ニューヨークで認められたんだって」
「それはちょっと……」
「でしょ」
「でも、なんでアンタなの?」
「私のあそこは芸術的に美しいんだって」
「はぁ?」
「すごく均整がとれてて……」
利美はもう正気で聞いてはいられなかった。
展示物になる!
晒し者になる!
想像しただけで、もう立っていられないほど感じてしまうのだった。

