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コーストライン
第3章 さざ波




埠頭に車を止め、遠くに流れるように光るテールランプを二人は眺めていた。



「結構集まってるんだね」

「俺もあれから来てないから知らんが、好きなヤツは好きなんだろ」



この、夜のガヤガヤとした空間が好きだった。

何が楽しくてと思うがあの頃は、その意味のない会話も楽しかった。

今もこの何かが始まるかもしれないと言う雰囲気は好ましく思う。

遠くを何台ものテールランプが掠める光の先に目を移す。



「実はさ、俺「それは言いっこなしだよ、」でも、もし「それもなし、ようはタイミングでしょ


「。。。初恋だったんだよ、告る勇気はなかったけど」

「あら、気が合うはね、初恋ではないけどツルムようになって私も木内には他のヤツとは違う好意を持っていたけど」

「あの時。。。」

「それも今更でしょ

おめでとう、幸せになってね

後、産まれてくる子のためにも家族を幸せにしなきゃ」

「ああ、今更だよな ありがとう」

「嫁が許すんだったらこれからもたまには付き合ってやるよっ」

「嫁もオマエのこと知ってるし会ってみたいって」

「機会があればね」

「オマエこそどうなんだ」

「どうなんだろ?上手くはいってるけどこればかりは私の一存ではどうにもできないし、ホント縁とタイミング」

「そうか」

「うん」



思っているからとその思いが当たり前のように伝わるかと言うと否であろう。

色々な要因にもよって異なるだろう。

木内と叶和にしてもそう。

お互いに好ましく思っていても、そのままの居心地の良さに敢えて、踏み出さなかった。

それも又、お互いがわかっていた。



「じゃ、帰るか」

「そうだね、また誘って」



そうして、帰路に着いた。





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