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コーストライン
第3章 さざ波




「家まで送るぞ」

「イヤ、迷惑
あ、二軒先の受験生がいる」



家まで行かれたら、いい歳した娘がヤン車で。。。ご近所様の手前もあるし、木内が善意で言っているのは重々わかっているが遠慮させて頂きたいと、待ち合わせをしたコンビニ先で近所の小僧を見つけたので叶和送ってもらうことにして、木内とわかれた。



「叶和姉、元ヤン」

「違う」



やっぱり、疑われる。
帰り道、人は見た目が重要だが、見た目ばかりに囚われてはいけないよ。
と、小僧に則した。

コンビニから家まで徒歩五分弱、則すにはいささか足りないが、躍起になってまで誤解を解こうとも思わない叶和は、小僧にお礼を言って家に入った。

日付が変わったばかりの宵の口。

メイクを落とし、出かける前にシャワーをしていたので、風呂は明日にしてココアを作り部屋に向かおうとしたとき、家電が鳴りだした。

木内が家電にかけてきたと思い電話に出る。



「はい、吉田です」



返事は帰ってこない。

いつもの無言電話だと思いながら、電話を切ることができない叶和だった。

しばらく、無言状態が続く電話口の向こうには微かにミュージックが流れている。

迷惑行為は甚だしいが、どんな相手かと興味もあり、切れるまで様子をうかがってみようと叶和は思い、電話口の向こうに耳を澄ます。

そうしたら突然、ドアの開く音がして人の声が聞こえた。

聞こえたと思ったときには、電話はプツリと途絶えていた。



『……き、だだいま……』



電話口の向こうから聞こえた男の声。

叶和の聞き慣れた声でもあった。





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