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淡い月
第1章 雨降りの窓辺
(字数制限により無理な展開がありますが、ご了承下さい。尚、フィクションです)



 「不味いな、雨降られちゃ」

 一階の古書並ぶ手前、私は節子を背後に捉えながらそう呟く。古書にとって致命傷となる湿気には、非常に気を配らなければならないのだ。

 「除湿器とか無いの!?」

 穴の空くような瞳で私を見つめながら、彼女はそう言う。

 「うーん、エアコンの除湿機使ってるんだけど、一ヶ月前に故障しちゃってさ」
 「さっさと直しなさいよ!もう困るわねぇ、窓閉めないと」

 すると、節子が勝手に窓を閉めようとするから、いいよいいよと私が窓の錠を締めようとした。

 「おっ」

 彼女が窓の錠を締めようとしていた所に、ふと手が重なり握ったかたちになったのだが、黙ったまま何も言わないで、そのままにしている。

 「ん?・・・・・・手どけてよ」

 何故か俯いていた。そして、妙な雰囲気をふいに漂わせた気がしたので、窓の錠を締めず、彼女の瞳に目を配る。

 「何かあったの?」

 その後、窓の錠を締めてから、店のシャッターを下ろし、二階に昇って色々と話をする。
 ・・・・・・これは困ったな、困った、困った。どうも、私がこの店で働いていることをつい先日から知っていたように推測できた。つまり、偶然の再会のように見せかけて、押し掛けてきたことになる。こんな住み込みアルバイトの私に対して、何の目的が?

 それから、二階での密会が続くようになった。勿論、目的は一つではなかったが、その一つに身の上話があった。ただ、それが本当かどうかは知らない。危ない女かもしれない。
 ある日、ベッドの前で二人見つめ合いながら、こんなやり取りをした。

 「・・・・・・今日も、た・べ・た・い・の」
 「節子、食べたいのか、俺をな」

 既に濡れていた。私自身が彼女の深みにはまるように、じっくりじっくりと秘部の底を、その底に目星をつけるように、その謎をただ高みから探ってゆく。

 「ここか?いや、あぁここか」
 「ぅーん、ぁぁ、はぁ、いい、いぃ。あぁ、とめなぃで」
 「はぁ。うぅ、それで、どうなの?」

 睨みつけるように、彼女の瞳を見つめながら腰を動かし続けた。

 「あぁっ!」

 空白の天井を見つめて、彼女はこう言った。

 「ぁふ、・・・・・・あなた最高ね」

 いや、そうでもない。(了)
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