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第2章 裸体を絵描く不純なゲイ
 しばらく外でぽかんとしながら、空に浮かぶ羊のような雲を眺めていた。
 羊が一匹、羊が二匹・・・・・・と、胸のあたりで数えてみる。
 やがて何匹出てきたか分からなくなった頃、Aが買い物袋を抱えたまま駐車場の方からやってきた。

 「あぁ、待ってたんでしょう?ゴメ~ンゴメ~ン!」
 
 わざとらしく俺の方を見てほくそ笑みながら、教室のドアを開ける。
 俺はイライラしながら、教室に入って手持ちのペットボトルのお茶に口を付けた。

 「これですけど、持ってきましたよ。いいですかね?」
 
 Aに先日描いた抽象画を渡す。
 すると気難しい顔をしながら、しばらく眺めた後に、こう言った。
 
 「いいんじゃないの?・・・・・・それより、あんたご飯は食べてきたの?」
 「コンビニでさっき買ったおにぎり食べたから大丈夫ですよ」

 Aが立ち上がって、俺の身体をふと舐め回すように見る。
 そうだった、Aは裸体が好きだったんだ。

 「うーん、細マッチョかぁ」

 するとペタペタ触ってくるので、本能的に辞めろよと思ってAの手を払ってしまった。

 「・・・・・・」

 何だこの気まずい空気は。

 「あっ、うーん」

 Aが残念そうな顔をしながら、次のように言う。

 「ダメ?あたしじゃ、ダメ?」

 ぅん?うーんと思うしかなかった。

 「惚れてるのよ、あんたに」

 どうしろってんだ!?えぇ?その時、俺はAを睨みつけた。

 「全くいやらしいもんですね、先生は」

 すると、恍惚とした表情をして、こう言った。

 「もっと言って。耳元で言葉責めして」

 ぅんん?ますます俺には分からない。

◆30分後

 その後、次第に要求がエスカレートしてきた。
 服を脱いでとか、色々それは色々だ。

 「くっ。セクハラじゃねぇかよ、なぁ!」

 すると、それがたまらないのだろうか。
 俺には分からなかったが、きっとこれは歪んだ性愛だとは感じていた。
 こころの中でAへの憎悪と尊敬が入り交じって、そろそろ沸点に近かった。

 こうして、この後から奇妙な関係が始まった。

◆第6週目

 「はい、今日はレッスンはここまでです!皆さんお疲れさまでした♪」

 Aがそう述べてから、生徒の一部がパイプ椅子を片づけている。
 Bがあの初老の男性とまた親しげにしているのだが、この前とは様子が若干異なる。 
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