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第2章 裸体を絵描く不純なゲイ
 芸術の秋、食欲の秋、読書の秋、そして恋愛の秋とも言われる。
 Bにもそういうのがあってもいいんじゃないかと思えたが、俺は目の前のAに対して、やり場のない複雑な気持ちを抱いていた。

◆レッスン終了後

 「A先生。俺はもう先生のことを『先生』って見られない」

 すると、Aはこう言う。

 「あたしを先生って見られなくなるのは困るのよねぇ。教室に通ってる限り、あんたは生徒だから」

 それはごもっともかも知れない、しかし・・・・・・。

 「でも、レッスンが終わった後は、あんたとあたしの関係はそうじゃないわ」
 「ん?やらしいよな、そういう言い方」

 しかし、このAと対峙していると鬱積が溜まるのがいつも不思議だった。

 「帰ってもいいんじゃない?でも、逃げるつもり?」

 それを聴いて、何故か腹の底が煮えたぎる。
 そして、3年間のここでの思い出を終わらすには、あまりにも呆気ない。

 「Aさん、あなたはもしや・・・・・・」

 目の前のAがその時、完全な「あれ」に見えた。
 しかし、決定打はそこに「それ」が付いているという神の悪戯に違いなかった。
 Aが俺の前で深い悲しみの泉から沸き上がって来るのがハッキリと見える。

 「クソっ、どうなってんだよ!なぁ。どうして・・・・・・」

 俺は珍しく取り乱してしまう。
 そして、さすがに俺は童貞でも無いし、別に女嫌いなわけでもない。
 しかし、この目の前のAだけは、これまで出会った人間の中でも複雑怪奇で極めて関心のある「あれ」だった。
 すると、Aが怖ろしく不気味に笑いながら、締め切った教室の中で歌い舞い始めた。
 何かの悪夢を見ているような気持ちになりながら、Aが同じ闇に引きずり込む。

◆暴虐 ~それは矛盾からの解放、即ちリセットするための火花~

ーー教室の電灯を全て消した。

 そして、目の前で踊るAの豊満な身体を掴んで、力強く服を引き剥がすと、それを手元にあったイーゼルに投げつけた。
 教室の外の駐車場の電灯がうっすらとカーテンの隙間から差し込んでいる。
 目の前のAが、愛液滴る陰茎を勃起させて、悦びながら微笑んでいるのが分かる。
 そして、俺にこう言う。

 「会いたかったよ」

 それを聴いてから、俺はこの野郎と思いながら、耳元でこう言った。

 「おまえ、・・・俺のこと3年間騙し続けただろ?なぁ?」
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