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第4章 万年ジャージ姿の金髪女
深夜、Aが目を覚ましたのだろうか?俺のおでこをツンツンと叩いて起こしてきた。

「ねぇ、夜だけど……」

ん?ぼんやりとした暗がりの室内、俺の視界にAの姿が映っている。夜だけどって、何だろう。夜は夜だな、と。

「おぉ、ああ、Aちゃん起きたのか」

夜な夜な、Aをみていると、俺の部屋にもうひとり別の人間が居ることに不思議な気持ちになってしまった。
32年間、独身生活を続けてきた俺にとって、俺の部屋に他人が同居することなど、これまでに一度もなかったからだ。

「ねぇ夕くん。……キスして抱いて」

突然のことに、えっ!?と思った。俺はAを大切にしたいけども、キスして抱くにはちょっと、えーっと躊躇してしまう気持ちがAにどこかにあったからだ。むまむまむまむま……。

「いや、Aちゃん。うーん、それはね、その」

俺は経営者になってからは仕事仕事の毎日で、女性との縁もなかった男だ。そこに、このAという花が舞い込んできたわけだが、どうしてもAを初対面から大人の女性としてみられない自分が居た。

「Aちゃん、今日はお預けだよぉ」

「……ぷんぷん」

というわけでとりあえず、この夜はこのままふたり背中を向けながら眠った。
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