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第1章 トレンチコートのおんな
 パソコンの画面のスクリーンセイバーが発動していた。ふとD部長の方を見ると、また先輩を怒鳴りつけている。

 「大丈夫かな?」

 そう呟いていた。時計は16時を回っていた。
 その後、社食の前の売店で、割引になった幕の内弁当を買って帰路へ着く。勿論、仕事を持ち帰って、非番日の明日に一気に終わらすつもりなのだ。

◆翌日

 チュンチュン♪ チュンチュン♪ 新しい朝が来た。希望の朝だ♪
 早速、手元のパソコンの電源を点けて、表計算ソフトを立ち上げる。手元には焼いていない食パンが一枚二枚とぉ。
 そういえば、Aからまたメールが入っていたような気がする。受信フォルダを見てみると、8件彼女の名前で埋まっていた。内容を開いてみると、①いまどこどこに来ている ②こんなもの食べた飲んだ ③夫が などであった。
 その後、昼過ぎまで表計算ソフトで明日の昼13時からの資料を作成していたが、気晴らしに近所のコンビニに出かけた。

 コンビニに行く途中に、Aにメールを返信した。子犬が道ばたに捨てられている。可愛いな、けど飼えないなと思いながら、そっと頭を撫でた後にスタスタと歩いてゆく。
 店についてから、タバコを1カートン、制汗剤を1本、昼食のオムライスを購入。週刊誌を立ち読みしてから、そのまま再び自宅へ。
 夕方になってから、とりあえず風呂に入ることにした。風呂を上がってからヘアワックスなんか付けちゃったりして、やっぱり私も彼女を意識しているんだなと気づく。

 Aに電話してみると繋がらなかったので、とりあえずメールだけ入れて、先にバーに顔を出しておくことにした。

 「いらっしゃいませ。あぁ、先日はご来店頂きましてありがとうございました」
 「いえ、とんでもないです。Amaretto美味しかったですよ」

 一番奥の席に座り、仕事用の書類に目を通す。



 「お客さん、お客さん」

 耳元で遠くから声が聞こえる。眠りこけていたのだ。

 「あぁ、すみません。寝てましたね」
 「大丈夫ですか? 目覚ましにいいお酒がありますよ」
 「へぇ。どんなのですか?」

 すると、女性のシェイカーさんが粋な感じで用意。

 「薬草系のカクテルなんですが、Branca Mentaっていいます。Mint添えてありますよ」

 飲んでみると強烈だったが、結構好みだった。
 
 

 




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