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第1章 トレンチコートのおんな
 日が暮れて、先ほどのお酒を飲み終えた頃に、Aがやってきた。

 「健也く~ん!」

 く~ん♪ でも、何かあったんだろう。とりあえず、彼女のためにHeartlandを1本注文した。
 
 「Aさん、どうしたんですか?昨日は」

 Aが急に目を伏せながら、こう言う。

 「うぅん、いいの。もう終わったことだから」

 私はどう返答するか迷ったが、とりあえず黙って放っておき、煙草に火をつける。

 「昨日はごめんねぇ、仕事中に電話しちゃって」
 「いえ、大丈夫ですよ。でも、1ヶ月ぶりですかね?」
 「そうね、それくらいかしら」

 目の前のAがロングヘアーを片手でかき分けながら、手元のHeartlandの瓶におちょこ口で飲んでいる。
 遠くの席には、白髪のおじさんとお姉さん、あっちの席には年輩女性とその夫?、さらにさらに後ろの席には、若い男性二人組がスツールに腰を掛けていた。

 「旦那さん、まだ家に帰ってきてないんですか?何か、3日くらい帰ってきてないって仰ってましたよね?」

 Aがふと睨むような目で私を見てから、手元のバッグから小包を取り出す。

 「その話はしないで。健也くん、お土産があるの」
 「何ですか?」
 「京都に行ってきたの。南禅寺と竜安寺ね」
 「ほぉ~」

 小包を空けると、そこには大黒天と思しきモチーフを彩った、小さな太鼓が現れた。

 「太鼓!?どうして?」
 「健也くん、太鼓好きそうだと思って」

 わけわかんねぇよ、何で太鼓??どうかしてるぜ、この女。その後、私はとりあえず、次のお酒をマスターに申し出た。するとマスターがこう言う。

 「いい太鼓ですね。私も昔、太鼓していたんですよ」

 Aと私はマスターの話に夢中になった。

 「まぁ太鼓というか雅楽で使われるものなんですけどもね。龍笛とか笙とかあるじゃないですか?」

 「えぇえぇ、ありますね」

 Aがそう言う。そして、私は話に夢中になる。

 「あれらの楽器には一つ一つ意味があって、例えば笙という楽器は「光が降る音」を表しているそうなんですよ」

 なるほどと思った。では、やっぱり太鼓にも意味があるんだろう。もしや、Aさんはそういった深い意味合いを持たせて、私にこの装飾品の太鼓を買ってきてくれたのだろうか?
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