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Short ★ Short
第6章 窓口に現れない寮母さん
◆寮母とおっさん
(場面は私の勤めるバー|店内BGMはDebussy/月光♪が流れている)
「ロックで」
「かしこまりました」
バーテンの私は、今夜もお客のためにお酒を作り続ける。
しかし、今日は早番だから、そろそろ帰宅出来る時間だ。
この後、Bに会う約束をしていた。
三宮のセンター街を抜けてから、南京町の傍にある別のバー。
先日、お仕事の関係で偵察していたお店で、雰囲気がモダンでとても良かった。
店の入り口には斬新なネオン・アートがあって、中に入るとモノトーンで構成されたシックな空間。
店内のBGMもチル・アウトな選曲ばかりでクールで落ち着いた変わった店だった。
私はBをそこで待っていた、先日の話の続きがあるということで。
「おぉ、お疲れー」
Bがやってきた。
シェイカーが灰皿などを持って来て用意してくれる。
「とりあえず、ギネス1poundで」
Bは注文で悩んでいたので、私と同じものをサービスすることにした。
「もう一杯追加で。彼のために」
その後、色々話を続ける。
「英会話の勉強、どう続いている?」
Bがこう言う。
「あぁ、あれな、今度香港に行くことになったんや。Skypeで教えてくれてる人がそこに居ってな」
「ほぉ。なるほどねぇ、いいな」
二人の酒と談話が進む。
「で、あのAっていう寮母さんとその後は?」
すると、Bが何やら不満気にこういう。
「あぁ、あいつな。マシュマロやで!」
「何が?」
「おっぱいや!おっぱい!」
目の前の灰皿に、煙草の灰をトントンと私は落とす。
「ふーん、で、どこまで?」
私は指を何本か立てて合図する。
「うーん……」
何か不満気な顔をやはり私に見せてくる。
どうも何かが期待と違ったらしい。
「あれなんや、あれ。あのな、マネキンみたいやねん」
「なるほどなぁ」
曰く、魂の躍動というか生の何かがAには感じられないという。
「なんか、とにかくも万年床の女って感じや」
「何に対して?」
「うーん、生きるっちゅうことやろな」
私はそれを聴いて、少し痛い気持ちを抱いた。
「生きるって何だろう?」
「分からへんわ、難しいことやな」
「うーん」
禅問答のような時間が経過してゆく。
(場面は私の勤めるバー|店内BGMはDebussy/月光♪が流れている)
「ロックで」
「かしこまりました」
バーテンの私は、今夜もお客のためにお酒を作り続ける。
しかし、今日は早番だから、そろそろ帰宅出来る時間だ。
この後、Bに会う約束をしていた。
三宮のセンター街を抜けてから、南京町の傍にある別のバー。
先日、お仕事の関係で偵察していたお店で、雰囲気がモダンでとても良かった。
店の入り口には斬新なネオン・アートがあって、中に入るとモノトーンで構成されたシックな空間。
店内のBGMもチル・アウトな選曲ばかりでクールで落ち着いた変わった店だった。
私はBをそこで待っていた、先日の話の続きがあるということで。
「おぉ、お疲れー」
Bがやってきた。
シェイカーが灰皿などを持って来て用意してくれる。
「とりあえず、ギネス1poundで」
Bは注文で悩んでいたので、私と同じものをサービスすることにした。
「もう一杯追加で。彼のために」
その後、色々話を続ける。
「英会話の勉強、どう続いている?」
Bがこう言う。
「あぁ、あれな、今度香港に行くことになったんや。Skypeで教えてくれてる人がそこに居ってな」
「ほぉ。なるほどねぇ、いいな」
二人の酒と談話が進む。
「で、あのAっていう寮母さんとその後は?」
すると、Bが何やら不満気にこういう。
「あぁ、あいつな。マシュマロやで!」
「何が?」
「おっぱいや!おっぱい!」
目の前の灰皿に、煙草の灰をトントンと私は落とす。
「ふーん、で、どこまで?」
私は指を何本か立てて合図する。
「うーん……」
何か不満気な顔をやはり私に見せてくる。
どうも何かが期待と違ったらしい。
「あれなんや、あれ。あのな、マネキンみたいやねん」
「なるほどなぁ」
曰く、魂の躍動というか生の何かがAには感じられないという。
「なんか、とにかくも万年床の女って感じや」
「何に対して?」
「うーん、生きるっちゅうことやろな」
私はそれを聴いて、少し痛い気持ちを抱いた。
「生きるって何だろう?」
「分からへんわ、難しいことやな」
「うーん」
禅問答のような時間が経過してゆく。