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第6章 窓口に現れない寮母さん
 その後、正面を向けさせてから、私は彼女と同じ目線までしゃがむ。
 そして、その瞳を一度確認してから、そっと頭を撫でながらこう言った。

 「C。聴こえているか?君はやっぱり生きるべきなんだ、きっと」

 すると、神妙な顔をした後に、ふと笑顔になってこう言った。

 「もぉ、ばかぁ♪」

 私も嬉しくなって、また行為の最後にベッドで二人取り掛かる。
  
 「はぁっ、はぁっ、はぁっ……」
 「あきらぁ、あきらぁ、ぁんっ……」

 不調和のリズムで、Cの胴体が小刻みに震えているのが分かる。
 私は背中から滝飛沫のように汗が流れ続けている。
 
 「その教授の、ふぅっ、授業は、はぁっ、終わりそうだけど、あぁっ、眠気は飛ぶかっ!?」
 「んぁは、逝って、ぁあは、駄目っ、ぁあんはんぅ!」
 「あー、んー、出そう、……あぁっ!」
 「……」

 そして、白い飛沫をゴムの中に飛び散らせる。
 目の前のCは目が覚めたのか、瞳見開いたまま天井の一点をアレかのように見つめていた。
 空白の時間がともに過ぎ去ってゆく。
 共に生きるという何かを見出してゆく。
 本日の桃とウィンナーは“勤め”を終えたのかも知れない。

◆共に生きるということ

 その3日目の最後の日、Cと別れて部屋を後にするときこんな会話になった。

 「彰くん、またポトフ食べたいな」
 「あぁ、ウィンナーの?」

 すると嬉しそうにこう言う。

 「最低!」
 「はははっ、桃も添えないとな!」

 セクハラして、手を振って、Cと別れた。
 そして、Bの住む寮を目指して、この駅前から歩いてゆく。

 Cとの3日間の軟禁生活を終えてから、ゲッソリふらふらとしながら寮の廊下を歩いていた。

 「おっ、こんにちは」

 初めてAが窓口に座っているのを目にしたので、彼女に挨拶をする。

 「あなた、寮生じゃないよね?」
 「えぇ、Bの友達なんですよ」

 すると気まずそうな顔をしている気がした。
 いや、先日Bと話していたから、自分がソレをAに投影してしまったのかも知れない。

 「いやぁ、ちょっと休ませてもらえません?」

 私は彼女にそう言って、窓口の中の彼女が座っているデスク脇のソファに勝手に座った。
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