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第15章 及川 菜摘
義隆さんはいつも、青と赤のクルクルしたヤツがあるような近所の理髪店で、短く切ってくるだけなのに、今日帰ってきた義隆さんは、ワックスで散らした無造作ヘアになっていて。

驚き過ぎて声も出なかった。

「…お店、変えたの…?」

義隆さんは照れたように笑って、

「やっぱり可笑しいかな…初めて美容院に行ったんだ…その、隆行に注意されてね…スーツはいいとして、プライベートの時くらい、菜摘に合わせてもっと若い格好してやれってさ。」

気まずそうに明後日の方向を睨みながら咳払いする。

最初は意外すぎて違和感があったけど、こうしてみると…すごくカッコいい。

「会社も、そのスタイルで行くの?」

義隆さんはふるふると首を振って、

「ワックス使わないとこんな感じ。」

携帯を出して見せてくる。

ケープをつけたままなんだろう、首から上のショット、がアングルを変えて数枚。
ナチュラルでそれもいい感じだった。
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