この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
真愛~美女と野獣より・孤独な王子と黄色い薔薇の物語~
第1章 孤独な王子
もちろん、彼自身は自分の容姿が令嬢たちに及ぼす驚異的効果についての自覚は殆どない。更に二十八になっても恋人がいないというそのストイックさが余計に女性の間で人気を博す理由になっているとは、本人は知らないのも皮肉なものだ。
見合いをしたことはないが、候補に挙がった若い女性たちの数をかぞえれば、五十人は越えるのではないか。二十代半ばの頃は、それこそ逃げ出したくなるほど毎日、たくさんの令嬢たちの写真が持ち込まれた時期もあった。
儀礼的に写真だけはひととおり見たものの、その中の誰一人として興味を持った女性はおらず、ましてや逢いたいと願うことはなかった。皇太子妃候補に挙がるくらいだから、どの女性も世間的水準から見れば、何を取っても優れている。容姿、家柄、学歴、人となり、どれも申し分はないように思えた。
見合いをしたことはないが、候補に挙がった若い女性たちの数をかぞえれば、五十人は越えるのではないか。二十代半ばの頃は、それこそ逃げ出したくなるほど毎日、たくさんの令嬢たちの写真が持ち込まれた時期もあった。
儀礼的に写真だけはひととおり見たものの、その中の誰一人として興味を持った女性はおらず、ましてや逢いたいと願うことはなかった。皇太子妃候補に挙がるくらいだから、どの女性も世間的水準から見れば、何を取っても優れている。容姿、家柄、学歴、人となり、どれも申し分はないように思えた。