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真愛~美女と野獣より・孤独な王子と黄色い薔薇の物語~
第1章 孤独な王子
けれど、何も感じるものはない。そんなことの繰り返しだった。その中、持ち込まれる写真の数も減り、成長した弟のアーサー王子は高校時代から彼女を取っ替え引っ替えし、しばしばマスコミに登場するようになった。
―いつまでも結婚なさらない皇太子殿下より、いっそのこと弟君の方が即位なされば。
そういう声が上がっているのも知っているし、トーマス自身、皇太子の地位を弟に譲るのに何の異存もない。
皇太子でいる限り、いずれ嫌でも結婚はしなければならない。何故なら、それが皇太子たる自分の〝責務〟だからだ。けれど、愛や信頼のない結婚ほど、虚しいものはないとトーマスは知っていた。
両親を見れば判る。恋人から奪うように母を妻にした父を母は最後まで愛そうとはせず、不幸だったのは恐らく母だけではなく父も同様であったろう。
―いつまでも結婚なさらない皇太子殿下より、いっそのこと弟君の方が即位なされば。
そういう声が上がっているのも知っているし、トーマス自身、皇太子の地位を弟に譲るのに何の異存もない。
皇太子でいる限り、いずれ嫌でも結婚はしなければならない。何故なら、それが皇太子たる自分の〝責務〟だからだ。けれど、愛や信頼のない結婚ほど、虚しいものはないとトーマスは知っていた。
両親を見れば判る。恋人から奪うように母を妻にした父を母は最後まで愛そうとはせず、不幸だったのは恐らく母だけではなく父も同様であったろう。