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第21章 裏のかお

「旦那様と奥様の仲があまりよろしく無いのです。



これはもう何年も前からですが。



それに加え、




奥様は坊ちゃんを私立中学に入れようと躍起になり




……………98点のテストを持って帰ってきても、




マイナスの2点を責めます。



何度か……手を挙げているのを見ました」





精神的な負担ーーーーーー




それが、雪途を暴走させたのか。





よくある話だ。




よくある話だけれど、




見逃してはいけない話だ。





（夫婦関係仲が悪い…………




そりゃ、そうよね)




何せ女王様にいたぶられに来ていた雪文である。




家庭が安らぎの場所ならば、




わざわざ鞭で叩かれには来ないだろう。




「そうでしたか…………」




98点。




満点に近い。惜しい。





そこまでは親も思うだろうが、




雪途は成績抜群である。




手を挙げるのは明らかに間違っている。





雪途にとっても、ここは安らぎの場所ではないのだ…………………





その時だ。





カチャリ





入り口の扉が開いた。





「…………あっ？！



雪途くん！！」





雪途がぼんやり立っている。




「坊ちゃん！！」




「…………え…………




なんで…………先生がっ………」



切れ長の目がみるみる見開き、



かと思うと雪途は背中を向け駆けだした。