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穢された愛と正義の魔法少女たちの完全敗北……日記。
第8章 初めての痴漢。初めの満員電車
「す、すいません、遅刻しまし……」

 突然の闖入者によって、静まり返っていた教室が、急に騒めき出す……。

「えっ! 誰? 見ない顔よね」

「転校生かしら」

「キレイな銀色の髪ね」

「謎の転校生キタっ!!!」

 でもボクはすでに彼女の素性を知っていた。

「え~とぉ? あなたは……確か?」

「聖アクア女学院から転校してきました。
 佐倉河《さくらかわ》 栞《しおり》です」

 空気が大きくどよめいた。

 異性からは賞賛。

 同性からは羨望《せんぼう》の眼差しを一身に浴びながら、教室前方の一段高い場所に立ち。

 彼女は制服のスカートを軽く指で摘《つま》み。

 わずかに身体を屈めて! 威風堂々と自己紹介した。

「ああ、そうだったわね。
 それにしても転校初日から遅刻とは、いい度胸ね」

「先生こそ、生徒の名前はきちんと覚えた方がいいわよ」

 その声は凄い迫力と人を引き付ける魅力があった。

 軽いすぎる美貌は、えてして冷たい人形みたいな印象を他人に与えるが、栞の場合は皆無である。

 生気溢れるサファイアの瞳が、人々の目を惹きつけて離さない。
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