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癖の下僕
第13章 最終話
 新保美咲はずっと、従兄である九段下啓のことが好きだった。
 いつから?と聞かれれば生まれた瞬間から。と答えるだろう。
 子供の時は、会うたびに、二人でじゃれあって遊んでいた。時には冗談交じりでキスをしてみたり、洗濯板の様に平らな胸を見せつけ、顔を赤くする啓をからかったりしていた。
 そんな二人も、美咲が中学に上がるころにはほとんど顔を合わせることもなくなり、啓が東京の大学へ行くということも、すでに引っ越しを終わらせた後に聞かされた。
 
 美咲は、東京に行きたい一心で勉強し、見事、難関大学の京葉大学に合格したのだった。
 しかし、過保護な美咲の父親が反対したため、それをかわいそうに思った啓の両親が、すでに大学を卒業し、ミュージシャンを目指す啓に、美咲の面倒を見させるといって、父を説得してくれた。
 最初、啓の住むアパートの近くに部屋を借りる予定だったが、一人暮らしには広すぎる部屋に住む啓のところに一緒に住むよう、啓の母親に勧められた。
 それを聞いた美咲は、喜びのあまり叫びそうになったが、
「ありがとうございます。叔母さん」
と丁寧にお礼を言った。
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