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癖の下僕
第8章 5話 篠崎紗矢
午前中には企画書と、予算申請書を作り終えて、午後一番に社長のところに持っていった。
 社長はその企画書を読み終わると、
「さっきロビーで、この曲は聴いたよ。本当にいい曲だよね。
この企画書通り、どんどん、すすめてくれ」
と企画書と予算申請書に判子を押した。
 判子を押し終わると、社長はいやらしい顔で紗矢の顔を見ながら、
「ところで、君、最近ちゃんと出すものは出してるかね。便秘はお肌にも良くないときくしねぇ・・・」
と言ってきた。
 紗矢は少し顔をしかめながら、言葉の意味するところを考えた。
 普段、社長がセクハラ発言をすることなんて、めったにない。しかも、こんな女性のトイレ事情を探るようなことは一度もなかった。
「はい、社長が心配しなくても大丈夫です」
と、冷たい口調で答えると、
「そうか、そうか。それは良かった。じゃ、この件、よろしくね」
と、判子の押された紙を紗矢に差し出した。

 紗矢は、社長の発言に対していろいろと思考をめぐらせながら、啓のレコーディングの準備を進めた。
 午後二時頃、急に紗矢のおなかの調子が悪くなった。
 いつも会社にいるときに、便意に襲われることなどない。
 あわてて、トイレに駆け込み、少し下痢気味のうんちをビチビチとひねり出すと、紗矢のスーツのポケットの中に入れてある携帯から呼び出し音がなった。
 携帯の画面を確認すると、電話は非通知の番号からだった。一瞬迷った後、電話にでると、昨日の夜と同じボイスチェンジャーで変えられた甲高い声で、
「手紙に書いてあったことは、覚えているな、見ているぞ」
と、言ってすぐに電話は切られた。
 どこかで見られているのか。紗矢は周りを見渡したが、あるのはトイレの個室の壁だけだった。
 便意がおさまり、トイレットペーパーを手に取っていたが、写真の事が頭をよぎると、仕方なくお尻を拭かずに立ち上がり、そのまますでにうんちと愛液でべっとりと汚れているパンティをゆっくりと下痢便の汁と尿が付いたままのお尻まで引き合上げた。
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