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快楽に溺れ、過ちを繰り返す生命体
第63章 母性愛

鴨志田は達也に連絡して今日は会社に行かず、例のソープランドの件で面接するから留守にするとウソをついた。

「さぁ、乗って」

鴨志田が運転する車の後部座席に横たわるように乗り、車は駐車場を出て、近くのラブホテルに入った。

ラブホテルなら人目につかないだろうという事で、フロントに目を合わす事はない。

部屋に入り、ボコボコになった亮輔の顔をタオルを拭いてあげ、ベッドに寝かしつけた。

「先生、どういう事なんだよ…一体何がどうなってんのか説明してくれよ…」

どこから話せばよいのか、鴨志田は困惑していた。
まさか母親を消し去る事に関わっているのだから、迂闊な事は言えない。

とりあえず母親は失踪したという事にして、今までの経緯を亮輔に話した。

亮輔はベッドに横たわり鴨志田の話を黙って聞いていた。

「先生…」

「何?」

鴨志田はソファーに座っている。
時折、イライラしてるのか、タバコを吸っては消し、またタバコを吸うというヘビースモーカーぶりだった。

「じゃ、先生はアニキの部下って事かよ?」

「…」

鴨志田は何も言えなかった。

ソープから抜け出たい一心で達也の会社乗っ取り計画の手伝いをした事もあるが、母親の残した財産のいくらかを貰うという事もあって、亮輔に真実を語る事は口が避けても言えない。
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