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快楽に溺れ、過ちを繰り返す生命体
第77章 一生付きまとう
相変わらず、サビの部分を外し、声が裏返ってしまう。
それでも凜はオレの歌をちゃんと聴いていた。

「すごーい、この歌難しいんだよ。ちょっと音程外れてたけど、大丈夫だよ」

凜がパチパチと拍手してくれた。

「じゃあ、次は私が歌うね」

凜は慣れたようにマイクを握り、何度も歌った事があるだろう、曲を歌った。

歌い慣れてるせいか、サビやビブラートもしっかりと歌い上げた。

「上手いじゃん。よくカラオケには行くの?」

そうじゃなきゃこんなに歌いこなせないはずだ。

「うーん、たまに独カラしたりするかなぁ、何かストレス発散の為に行ったりしてるよ」

「独カラって何?」

「えー、知らないの?お一人様でカラオケに行くことだよ。よく1人でカラオケに来る人多いみたいだよ」

1人でカラオケかよ。空しくなんないのか、そんな事して。

「何で1人でカラオケに行くの?誰も聴いてないのに1人で歌ってつまんなくない?」

「そんな事ないよ~、普段歌わない曲とか、この歌を練習するために1人で来るとか、そういう人いっぱいいるんだから」

オレはどうも世間の事には疎いみたいだ。

テレビなんて滅多に見ないし、何の曲が流行ってるのか、何が流行なのかさえ知らない。

第一、そんな余裕すら無かったからだ。
1人でホテルやインターネットカフェで寝泊まりして、毎日のように寝場所を探していたオレは、流行のものなんて知るはずもない。

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