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第79章 好い人達

(何なんだ、そのレンタルガールだの、レンタルボーイというは。あの女、派遣の仕事してるって言ってたけど、その仕事してんじゃないか…)

オレは作業中に凜の言っていた言葉を思い出していた。

レンタルとはいえ、人に買われるような人身売買と一緒じゃねえか。

人身売買と言えば、オフクロがそうだった。

身柄を拐われ、外国に飛ばされてしまった。
あの兄のせいで。

ただでさえ、身内がそんな目にあってるのに、金持ちの道具として扱われるなんて冗談じゃない。

イヤな事を振り払おうと、必死に作業した。

相変わらず、兄の幻影には悩まされる。
おまけに凜の持ちかけてきたあの話で頭の中が整理出来ない。

あの凜て女も兄と同じクズヤローなのか。
だとしたら、今後一切関わるのはよそう。

話すらするのも止めよう。
オレは将来の事を全く考えてない。

だが、兄の様な人を陥れて、無様な死に方だけはしたくない。

オレはもう誰も信じないし、誰も愛さない。
その代わり、人を騙し、陥れるような事もしたくない。

あれだけ友達が欲しい、何でも話し合える仲間が欲しいと思っていたが、今はそんなヤツは必要ないと心に決めた。

孤独？それがどうした。１人ぼっち？上等だ、人と関わるつもりは一切ない。

確かに人との繋がりは大切だ。
だが、オレにしてみりゃ、あくまでビジネスライクの様に付き合う程度だ。

これだけ人に騙されたんだ、もう騙されたくない。

どいつもこいつも口を開けば金、カネとそればっかだ。

確かに金は必要だ。
綺麗事を唱えるつもりはない。