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快楽に溺れ、過ちを繰り返す生命体
第108章 母への憧れ
オーナーは亮輔に母親との出会いの時から話始めた。

「実は千尋さん、いや、村山千尋ちゃんは高校の時の同級生なの」

…?同級生?

「て、事はオーナーはその頃男だったんですよね?」

「アッハハハハ~、当たり前じゃない!まさかセーラー服着て学校に通ったら大問題じゃない!
でね、私が男だった頃は、坊主頭で筋肉もかなりあったのよ~、ほら、前にアームレスリングやってたって言ってたでしょ?これでもバリバリのアスリートだったんだから」

オーナーは昔を懐かしむかのように天井を見ていた。

その頃の思い出が浮かんできたのだろう。

「で、そんなバリバリの体育会系な人が何でニューハーフに…?」

フフフッと笑いながらオーナーは話を続けた。
「私、物心ついた時から女の子になりたくてね。性同一障害というのかな。
でも、そんな事、言ったら周りの人は引くでしょ?だから誰にも言えなくて、10代の頃はかなり悩んだなぁ…」

男に生まれながら、女に憧れる。
これは脳の仕組みが生まれつき女性だという事らしい。

「アームレスリング始めたのはどうしてですか?」

最初に会った時に握手した際、ものすごい握力だった。
あれは女の握力とは思えない程の力だった。

「私ね、高校に入った時、仕草とか話し方がちょっとおネエっぽかったの。そりゃそうよね、小さい頃から女の子になりたかったんだし。
で、周りから【お前、オカマっぽいな】とか言われて、ほら、その頃って思春期だから、そんな噂がたったら皆、私の事をオカマだってイメージを植え付けられたらマズイと思って、頭を坊主にして、少しでも男らしいとこを見せようとカムフラージュして、アームレスリング部ってあったから、そこに入部したの…
あの頃は辛かったなぁ。ホントは女の格好したかったのに、そんな事カミングアウト出来ないでしょ?だから少しでも男っぽくしようと自分を偽ってたの」

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