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快楽に溺れ、過ちを繰り返す生命体
第110章 清濁併せ持った人間になりなさい

「それとね、お金の使い方もそう。亮輔くんはお客様から貰ったお小遣いで色んな高い物いっぱい買ったでしょ?しかも必要の無い物ばかり」

ヴィンテージ物のデニムやギター、腕時計や服に靴、アクセサリー等を買い占め、仕事もいい加減になり、オーナーが激怒して、あらゆる高価な物をぶっ壊した。

あの時は鬼のような形相で、このマンションを追い出され、しばらく干された。

「自分の欲求の為だけにお金を使っちゃダメ。それはただの泡銭となって消えてしまうから。
いい、そのお金はいざという時に使うの」

「いざという時って具体的にどんな時ですか?」

オレは過去にも大金を手にしたことが何度もあったが、キレイサッパリ使い果たした。
特に沢渡さんから譲り受けた1000万は兄の幻影に悩まされ、不幸を呼ぶ金だと思い、また母親が作った会社と早く縁を切りたいが為に毎晩風俗通いした。挙げ句には凜を500万でレンタルし、灰人に追い込んだ。

今のオレには清は無く、濁の部分しか持ってない。

「いざという時っていうのは、心から信頼出来る仲間、親友、そういう人脈を作って、この人の為ならっていう時に使うものなの。その為には人の見極め方や多くの人と接して、信頼出来そうだという人に使ってあげるの。それは後々、自分に返ってくるようになるのよ。それが形なのか、見えない物なのか。
でも、そうやってお金を、そして人を見極める事が大事なの、それにはもっともっと色んな人と話して接して、経験を積んでいくの。今の亮輔くんには難しいかな…?」

オーナーの言ってる事は解る。
だけど、オレは誰も信じないし、誰も愛さない。

もう人に振り回され、挙げ句に騙されるのはゴメンだ。
それにオレと関わる人は必ず不幸な最期を遂げる。

オレはオーナーの教えには諸手を上げて賛成というワケにはいかないんだ…
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