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快楽に溺れ、過ちを繰り返す生命体
第132章 慢性化する過呼吸
オレは指先をハァーっと息を吐いて手を暖めていた。

「お姉ちゃんの名前は紗栄子。広瀬紗栄子って言うの」

…やっぱり!鴨志田は養子縁組する前の名字は広瀬のはずだった。

「広瀬紗栄子?名前だけじゃ解るワケないだろ?しかも高校の先生だなんて、オレ高校入って1学期で辞めたんだぞ。
学校に縁の無いオレが知るワケないだろ」

「え、1年の1学期で辞めたって、随分早くない?」

ナツは不思議そうな顔してオレを見た。

「入学したはいいけど、親が亡くなったからな。おまけに身寄りが無いから、15の時から1人で暮らしていたよ」

「ウソっ、15才で一人暮らし?」

そりゃ驚くだろうな。
おまけにあの兄に騙されてしばらくは住む場所すら無くてホテルやインターネットカフェを転々としていたなんて言っても信用しないだろうからな。

「古賀くん、両親は?」

「オヤジは海外の出張先で強盗に遭って銃で撃たれて死んだよ。オフクロは事故で亡くなったし」

「え、そんな短い期間でご両親を亡くしたの?でも、兄弟とかいるでしょ?」

「アニキがいたけど、家はちょっと複雑な家庭でな。血の繋がってない兄弟だから、今はなにしてんだか」

オレはさすがに兄の事は言えなかった。
兄の事を喋ったら、うっかり鴨志田の事まで喋りそうになってしまうからだ。

「そんな…じゃあお兄さんに助けてもらったりとか出来なかったの?」

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