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快楽に溺れ、過ちを繰り返す生命体
第134章 悪魔にもなれなかった雑魚
沢渡さんのクセである、腕を組み、目を閉じる。考え事をしている時は必ずこの仕種だ。

「亮輔くん」

「はい」

「君はあまりにも多くのものを背負いすぎた。10代で1人になり、食べていく為に色んな事をやっていた。
どうだろう、ここは暫く休養して身体を休めた方がいいんじゃないかな?」

「それは解っています。けど、今のオレは蓄えすらない状態です。休養したいのはやまやまですが、休みたくても休めないんです…でもそれもこれもオレが10代の頃にバカな事で散財さえしなければこんな貧乏な生活はしてなかったと思います」

沢渡さんから貰った1000万、レンタルクラブで稼いだかなりの大金は、母親の治療費、鴨志田の墓石を建て、残った金はあれもこれもと買い占め、結局はその買い占めた品物でさえも無くなり、金もスッカラカンになってしまった。

もう少しオレが賢ければ、散財せずに今頃はマンションでも買えた程の金を持っていた。

兄の幻影に悩まされ、金がある毎に使いきってしまった。

不思議と無一文になると、兄の幻影は消える。

だからオレは大金を手にしたくない。
生活できるだけの金と心のゆとりがあれば何もいらない、オレには大金なんて不釣り合いだ。

「その知り合いという人は女性だね?」

…やっぱりこの人には全てお見通しなのか。
オレはナツとの経緯を伝えた。

鴨志田の事を言うべきか…
散々迷ったが、オレは沢渡さんに、ナツは鴨志田の妹だと言う事を話した。

「これはあくまでも私の憶測だが」

沢渡さんは前置きしてから話し出した。

「実のお母さんの妹さんの所に厄介になれば、いずれはバレてしまうのは時間の問題だ。
亮輔くん。もし、その彼女の所で世話になるなら、最初にその事を言うべきだと思う。
言わないで後でバレたら妹さんは君の事をどう思うのだろうかな。はっきり言えば、私としては妹さんの家に厄介になるのは反対だ。
だが、これは男女の問題だし、君もそういう相手がいてもおかしくない年頃だ。
それをクリア出来るのであればその妹さんと一緒になるというなら、私は何も言わない」

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