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快楽に溺れ、過ちを繰り返す生命体
第157章 命を懸けた頭脳戦
沢渡は弁護士の名前を知らないし、聞くつもりもない。
弁護士も沢渡が幾つかの修羅場をくぐってきた人物だと見抜き、ただ者ではないという事は解っただけで、余計な事は一歳言わない。

ただ二人で酒を飲み、他愛のない話をするか、二人とも話はせずにカウンターに並んで静かに酒を飲むという事もある。

それはお互い何を考えてるのか解る為、心の中で会話しているようにも感じる。

今日も裏路地にある小さなバーで二人は並んでスコッチを飲んでいた。

「沢渡さんよ…」

珍しく弁護士から話を振ってきた。
「ん?どうしました?」

弁護士は葉巻に火を点け、煙をくゆらせながら話を切り出した。

「アンタいつまであのバカを放っておくつもりだい?」

達也の事である。

「さぁ、この世の中にも必殺仕事人みたいな人物がいればいいんですがね」

沢渡は2杯目のスコッチを口にした。

「…ふっ、じゃあそろそろ開始かい?」

「…今海外に旅行に行ってますよ。何を思ったのか解りませんが、1ヶ月程東南アジアに旅行するとか言ってましたよ」

「はっ、バカなガキだ。てことは1ヶ月後、日本に着いてからって事でいいのかな?」

沢渡は弁護士の方に顔を向け、一言「お願いします。そちらに全てお任せ致しますので」

そう言って頭を下げた。

「でもあんなガキ、いつでも社長から引きずり降ろす事は出来たろうに、何故今までほったらかしにしてたんだい?」

「いつ本性を出すのか。それを待ってましたが、こうも早くボロが出るとは思ってませんでしたよ」

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