この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
コミックサイトで逢いましょう
第8章 悪魔降臨 ―それとも救世主? ―
床に打ち付けた躯の痛み…と言うよりは、やばいシチュエーションに暫らく互いに声が出なかった。
ドジな自分を殴り飛ばしたい気持ちとは別に、己の奥深くに焦がれるような気持ちがあることに動揺する。
知りたくない気持ち。
それは、今まで故意に向き合うことを拒否してきた己のこころだった。それ以上わかりたくない…。
耿輔に組み敷かれた俺は、目を逸らして現実から逃れることに必死になった。胸の鼓動が早鐘を刻む。
耿輔に知られてしまう…
息詰まる沈黙を破って、先に口を開いたのは耿輔だった。
「モトミ…大丈夫、痛くないか?どこかぶつけなかった?こんなフラフラになるまで呑むなんてどうかしてる」
宥めるように労(いたわ)るように、髪が優しく梳(すかれる。それは、まるで頑なな俺の心を溶かすよう。
先程のキスとは違った甘いキスが俺の耳朶を擽(くすぐ)った。
耿輔の優しさに俺の心が解れていく。
酔った思考はメチャクチャで、”このまま耿輔に牽かれていっても良いかも…”なんて馬鹿なコトを考え始める。
だけど、状況は俺の想像を遙かに超える妖しい方向へと進んでいた。