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第7章 男の娘(おとこのこ) ―倒錯、或いは迷走―
小さい頃から、色々に呼ばれて、今ではどちらの名前で呼ばれても返事出来るようになっていた。嫌だけど、最近は否定するのも面倒くさい。
「良いよ…どちらでも。呼びやすい方で」
俺の返事にホットしたのか、亨は手にしたトレーを傍らの机に置いてゆっくり話し始める。
「兄貴のせいで、トモちゃんを酷い目に遭わせたみたいで…本当にゴメンナサイ。あんな風でいい加減に見えるだろうけど、根は純粋で不器用な人だから、悪く思わないで…って言っても直ぐには無理だろうけど。兄貴なりに自分で出来る最大の誠意を見せているつもりだと思うから」
ノリの軽い耿輔とは対照的に、しっかりした弟。(見た目は妹なのに…(涙))
ちゃらんぽらんな兄貴を心配してる姿が健気だ。耿輔も少しは見習えよ!
「ヤツに替わって君が謝ることはないよ。こうなったのは自分にも原因が有るんだし…。ヤツのことを特に責める気はないから…」
いつもの癖で『いい人』ぶって建前を話す自分に吐き気がした。先程まで自分の中であれだけ、耿輔のことをブツクサ非難していたのに…